お見合い相手はエリート同期

「秘密主義なのかな。
 彼女がいなかったわけじゃないだろうけど紹介なんてするタイプじゃないし、どちらかと言えばそういうの嫌うタイプなんだ。」

 分かる気がする。
 お昼の小倉くんの時も気が進まない感じはあったし。

 嫌なら……連れて来なきゃいいのに。

「恭一は、こじらせてるから大変でしょう?」

「………イケメンをですか?」

「ん?イケメンってこじらせられた?」

「ふふっ。いえ。いいんです。」

「まぁあいつイケメンだけどね。
 イケメンが幸せとも限らないよなぁって恭一を見てると思うわ。」

 今までつらい恋愛でもしてきたのかな。

 少しだけチクンと胸が痛かった。

「恭一は分かりづらいけど信じてやって。」

「信じて……ですか。」

「そう。
 例えば好きな子をいじめちゃうタイプ?」

「いじめ、、ちゃう?」

「心当たりありそうだね。」

「いえ、そういうわけじゃ………。」

 微笑まれて思わず視線をグラスに移した。
 グラスの中で氷が揺れる。

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