お見合い相手はエリート同期
「砂煙を巻き上げて広大な砂漠を駆け抜ける様はなんとも言えないね。
灼熱の過酷な自然の中を……。
何がおかしい?」
「ううん。澤口でも夢中に語ることもあるんだなぁと思って。」
「うるさい。」
熱く語っていたのに我に返った恥ずかしさみたいな感じで澤口は不貞腐れてしまった。
笑ったりしたつもりはなかったんだけどな。
どうして澤口は海外へ?
という質問に意外な答えが返ってきた。
ダカールラリーが元々好きで、アバンスがダカールラリーに参加しているからこそアバンスに入社したらしかった。
そしてそのダカールラリーをこの目で見るために海外赴任を希望して、開催される南米にほど近いスペインの赴任先が上がった為、迷わず手を挙げたということだった。
そこからの興奮気味に話す澤口の見たダカールラリーの様子になるわけで……。
「ほら。これ。」
携帯の写真を表示させて私の前へと差し出した。
「綺麗……。」
息を飲むような満天の星空が怖くなるほど綺麗だ。
そして足元にもその満天の星空が広がっているように見える。
「ウユニ塩湖の鏡張りの景色。
様々な条件が揃わないと見られない。」
「それもダカールラリーの近くでみられるの?」
「あぁ。見られた時は震えたね。」