パクチーの王様
しかし、まあ、人の家の話なら、こうして冷静に聞けるのだが。
自分の家のこととなると、自分も、もう~と思うことが多いのも確かだ。
「芽以を挨拶に来させないのも、式をやらないのも当てつけか、とか言いやがった。
式をやらないなんて言ってないだろ」
とまるで今、目の前に両親が居て、文句を言っているかのように語り出す逸人に、
……あ、やるんだ? と芽以は苦笑いしながら思っていた。
あのー、私もそれ、聞いてませんでしたけど。
私の式なのに……。
「あっちはあっちで、跡継ぎの結婚で、てんてこまいなんだから、こっちのことは、ほっといてくれればいいのに」
そう言う逸人に、芽以は謝った。
「すみません。
私、忙しくて、おばさまたちにご挨拶に行くの、忘れてました」
だが、逸人は、
「行かなくていい、挨拶になんか」
と、つっけんどんに言ってくる。