パクチーの王様




 そんなこんなで夜も明け、大晦日の朝が来た。

 何度も言うようだが。

 何故、十二月三十一日にオープンしようと思ったのか、二、三発、張り手を喰らわして問い詰めたい。

 オープンと年越しが重なって、より落ち着かなくなるではないかっ。

 芽以は、ソワソワしながら、早朝から店内の点検をしていた。

 ちゃんとお客さん、来るんだろうかな、こんな日に。

 っていうか、私は、ちゃんと注文取れるんだろうかな。

 いきなりパクチー求めて、外国のお客様とか、いらしたら、どうしたらっ!?

 アイム ノット イングリッシュ!
 (私は英語ではありませんっ!)
と逸人に後ろから、はたかれそうな怪しい英語を心の中で叫んでいたとき、ふと、異変に気づいた。
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