パクチーの王様

 見るともなしにテレビを見ながら芽以は思う。

 しかし、あれだな。
 なんか年始からしてもらってばっかりだな。

 私も、逸人さんになにかしてあげたいんだが。

 正月といえば……

 お年玉。

 いや、お年玉なんぞあげたら、殴られそうだ。

 というか、妻から夫にお年玉とか、あまり聞かないが、と思ったが、他になにも思い浮かばない。

 朝から、きちんとしていて、神々しい逸人の顔を見ているうちに、何故か、『お賽銭をあげる』という言葉が浮かんだが、そんなものあげたら、逆に殴られそうだな、と思う冷静さは、まだあった。

 そんなことを考えながら、じーっと逸人の顔を見ていると、それに気づいたように、逸人もこちらをじっと見つめてくる。

 な……

 なんでしょうか?
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