パクチーの王様
芽以は、先ほどから、チラチラ、寿の和菓子を見ている。
最後のお楽しみなのだろう。
顔見ただけで、考えがすべて読めるってすごくないだろうか、と妙な感心をしていると、テレビが初詣のニュースを始めた。
「そういえば、今年は、初詣には行けませんねー」
となんの気なしにと言った感じで、芽以が言ってくる。
今だな。
今だ。
今しかないっ、と思い、逸人は口を開いた。
「行けばいいじゃないか。
まだ時間はあるぞ。
……実家にも寄れなくもないし」
着物を着せてもらいに、と思いながら言うと、
「ああ、逸人さんちですか?」
と芽以は言ってくる。
いや、うち、今、関係ないだろうが。
うちの母親なんぞ、着物を着せられるわけもない。