パクチーの王様
冬は寒過ぎてお洒落から遠ざかるが。
着物は悪くないな。
結構あったかい、と思いながら、芽以は開店まで時間があまりないので、近所の神社に行っていた。
小さい神社だが、地元の人で賑わっている。
……地元の。
はっ。
「芽以~っ」
赤ん坊を抱いた女が走ってくるのを見て、芽以は、
やはり、出くわすか……と思った。
地元の神社ということは、みんな居るということだ。
幼なじみの斎藤誉《さいとう ほまれ》だ。
誉は、大学を出て、すぐ結婚したので、既に子どもが二人も居る。