パクチーの王様
店が終わり、芽以たちは芽以の実家に着物を持って帰った。
母に、
「あんたはいいわよー。
着たら、ポイでさー。
あとクリーニングに出したりとか大変なんだからー」
という、いつも通りの愚痴を聞き、
「いや、だから、お金払うし、自分で持ってくよー」
「いいわよー」
という、いつものやりとりのあと、結局、晩ご飯まで食べさせてもらった。
美味しいなあ、普通のご飯。
お店では、美味しそうなものばかり運んでいるが、そういう手の込んだものではなく、家庭のざっくりとしたおかずがなんだか落ち着く。
「あー、やっぱり、美味しいっ。
おかーさんの手抜き料理っ」
と思わず、叫んでしまい、
「……あんたね」
と睨まれた。
いや、褒めているのだが……。