パクチーの王様
間で翔平の面倒も見ているから、そんなに手をかけているわけではないと思うのだが、いつも美味しい。
「新婚のあんたに教えておいてあげるわ。
主婦業で一番大事なことはね。
如何に、いい感じに手を抜くかってことなのよっ」
翔平を膝に抱えた水澄はそんな義母の話を笑いながら、聞いている。
はあ、まあ、それはそうかもしれませんねーと思う。
毎日のことだもんなーと。
主婦業は、店みたいに定休日もないし。
具合いが悪くても、よっぽどのことがないと休めない。
日々、全体を上手く回すには、手を抜けるところは抜くことも大事なのだろう。
「ま、あんたは抜きっぱなしでしょうけどね。
ねえ、逸人さん」
逸人は、美しい微笑みで流してくれた。
……ありがたい夫だ。