パクチーの王様
「ところで、芽以。
 お前、メモを取っているが。

 読めるのか? 後から」

「十日後くらいまでなら」
と顔を上げ言うと、

「時限爆弾か」
と言われる。

「いや、今、スマホ、電池切れだったんですよ。
 いつもはスマホにメモしてるんですけど」

「電池は切らすな。
 なにかあったとき、連絡つかなかったらどうする」

 はい、と言ったあと、逸人は沈黙した。

 なんだろうな、と思ったのだが、逸人は、そのまま、また、パクチーについて、語り出す。

「パクチーは最近、急に日本でも、もてはやされ始めたが、平安時代には、もう日本に入っていた。

 薬味や薬として、使われていたんだ」

 中国から渡ってきたパクチーは、古仁之《こにし》という名で日本に存在していたらしい。

 ちょっと平安時代に戻って送り返してきたい。
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