パクチーの王様
頭にターバンを巻き、宝石をつけている。
いや、それだと、怪しいインド人か? と思っている間も、逸人は沈黙していた。
芽以は、道路工事のおっさんのように首にかけていたタオルを握り締め、逸人を見つめていたが、逸人は、
「いや、やっぱりいい。
おやすみ。
あけましておめでとう」
と言って、去っていってしまった。
芽以は、
「……あ、あけましておめでとうございます?」
何故、今、おめでとう? と思いながらも、挨拶を返し、逸人の後ろ姿を見送った。