パクチーの王様

 すると、戌年なのに、何故か、もふもふの羊のパジャマを着た芽以がやってきた。

 自分は、そのもふもふの芽以の口に大量のパクチーを突っ込み続け、芽以が嫌がって泣いている

 ……という夢を見た。

 朝、目を覚ました逸人は、今のが初夢か? と思う。

 あまり縁起の良くなさそうな夢だ。

 だが、二日の夜から、三日の明け方にかけて見るのが、初夢だという説もある。

 そっちを信じよう、と逸人は思った。

 まあ、その説、一日目の夢が気に食わなかった奴が言い出したのかもしれないが。

 今の自分のように……、と思いながら、逸人はベッドから起き上がった。

 今日も寒い。

 まだ、二日なので、近くの神社が流しているのか、正月らしい雅楽の音が微かに聞こえていた。




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