パクチーの王様




「なんか上手くいってるじゃない」

 休憩時間になり、美味しかったわ~と自分でランチのトレイを下げてくれた砂羽が言ってくる。

「まあ、芽以ならやれると思ってたわよ。
 あんた、意外とできる子だもんね」

 いやー、意外とってなんですかー、と思いながらも、実は、できる女の砂羽に言われて、ちょっと嬉しかった。

「でも、芽以。
 まだ会社に出ないといけない日もあるんでしょう?

 その日は、この店、どうするの?」

「それがちょっと困ってるんですよねー」
と言うと、

「私が手伝ってあげましょうか?」
と砂羽が言い出す。

 いい、いい、と逸人と二人で手を振った。

「あら、なんでよ?」
と砂羽は言うが。

 いや、なんとなくだ。

 なんとなく……。
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