パクチーの王様
「でも、芽以。
 逸人でよかったの?」
とさすが砂羽、いきなり核心に触れてきた。

 逸人が、なにを言い出す、姉、という顔で、IHの前から見ている。

「圭太、略奪しちゃえばよかったのにー」

 砂羽は、悪びれもせず、そう言ってくる。

 相変わらず女王様な感じの人だ……。

 そのうち、パンがなければ、お菓子を食べればいいじゃないの、とか言い出しそうだ。

「だって、圭太は小さな頃から、あんたが好きだったのに。
 公立の小中学校に行ったのも、あんたが居たからだもんね」

 えっ?

「いろんな人の居るところでやってみたいとか言って、お祖父様が、おおそうかって感心して、入れちゃったんだけど。

 単に、私立の説明会に行くときに、待ってる間、公園で一緒に遊んだあんたが気に入って、公立にしただけで。

 逸人は、じゃあ、お前もって、ついでに公立に放り込まれただけだから」

 余計なこと言うなよ、という顔で逸人が見ている。
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