パクチーの王様
「元気そうじゃない」

 いや、どう見ても元気ではなかったのだが、元気ないじゃないと言ってみても、どうにもならないので、そう言ってみた。

「ああ、まあね」
と圭太は返してくる。

 今から日奈子の実家に行くのだと言う。

「ああそう。
 頑張ってね」
と砂羽は返した。

 日奈子は日奈子で昔から知っているし、別に義妹になっても困らない相手だ。

 家柄も容姿も釣り合っているし、なんだかんだで似合いのカップルだと思う。

 結婚当初はゴタゴタしても、いずれ、それなりおさまるところにおさまるのだろうと、砂羽は軽く考えていた。

 ところが、
「行ってくるよ。
 もし、芽以が来たら、教えてよ」
と圭太は言い出した。
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