パクチーの王様
盆暮れ正月に芽以と会いたいからとか阿呆なことを言ってたが、それだけが理由ではあるまい、と思い、訊いてみる。
すると、案の定、圭太は、
「……芽以は子どもの頃から、逸人が苦手だったからだ」
と言ってきた。
「逸人なら、芽以が本気で好きになることはないと思ったのね?」
なんという、せこい考え……。
だが、それを思いつくことが、家と芽以との間で板挟みになった圭太の精一杯だったのだろう。
確かに芽以は、昔から、逸人を前にすると緊張していた。
苦手といえば、苦手だったのかもしれないが。
それは、逸人が嫌いというのとは違うのではないかと思うのだが。
……まあ、今、言って、トドメを刺すこともあるまいと思い、砂羽は黙った。
「気をつけてねー」
と日奈子の家に行くという圭太を送り出す。