パクチーの王様

 今のその話の流れで、

 そうなの? 嬉しいっ。
 私、貴方と結婚するわっ、なんて女が居るとでも思っているのですか。

 だが、こちらの微妙な表情に気づいているのかいないのか。

 いつものように、マイペースに逸人は言ってくる。

「甘城あまぎの娘との結婚が決まり、正式に圭太が会社を継ぐことになったから。

 俺が会社に残ると邪魔だろうと思い、辞めたんだ」

 相変わらず、潔いな。

 そのまま圭太を支えるという生き方もあっただろうが。

 お坊ちゃん育ちの圭太に不満を持つ輩(やから)が、自分を担ぎ出そうとしたときのために、自ら会社を去ったのだろう。
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