パクチーの王様

 ああ、やっぱり、身内、という顔をお客さんたちはしていた。

 まあ、そっくりだからな……と思っていると、

「なにがいけない。
 俺は今日は飲み込んだぞ。

 昔は吐き出したが」
と圭太は主張する。

「吐き出して、後ろから、はたかれてたな」
と逸人が言った。

 もしかして、昨夜ゆうべ言っていた子どもの頃の話だろうか、と思っていると、側に立つ逸人を睨んでいた圭太は、おもむろに鶏と野菜のローストにパクチーのソースをとぷとぷとかけ始めた。

 鶏を切ると、それを食べ始める。

 ……圭太。

 やめた方が。

 息してないの、はたで見ててもわかるから、と芽以も思っていたし。
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