パクチーの王様
「あ、圭太が来た、とは思ったんですが。
次の瞬間には、圭太を見ている逸人さんの腕――」
とうっかり言いかけ、芽以は言葉を止めた。
「腕?」
と問い返され、なんでもありません、と苦笑いして答える。
うっかり本人に向かって言うところだった。
圭太が来たのに、次の瞬間には、逸人さんの腕の筋肉のつき方が美しいとか呑気なことを思っていたと。
人が同情してるときに、なに考えてたんだと言われそうだな、と思ったとき、逸人が、
「こっちに来るか?」
と訊いてきた。
こ……
こっちって?
「なにもしない。
抱いててやる。
……そのために俺は、お前の側に居るんだ」
戸惑うように逸人を見たまま動かないでいると、逸人の方が起き上がり、芽以の布団をめくると、中に入ってきた。
こ……
これは一体。
芽以は、ミイラでもこんなに硬直していないと思うほど固まる。
次の瞬間には、圭太を見ている逸人さんの腕――」
とうっかり言いかけ、芽以は言葉を止めた。
「腕?」
と問い返され、なんでもありません、と苦笑いして答える。
うっかり本人に向かって言うところだった。
圭太が来たのに、次の瞬間には、逸人さんの腕の筋肉のつき方が美しいとか呑気なことを思っていたと。
人が同情してるときに、なに考えてたんだと言われそうだな、と思ったとき、逸人が、
「こっちに来るか?」
と訊いてきた。
こ……
こっちって?
「なにもしない。
抱いててやる。
……そのために俺は、お前の側に居るんだ」
戸惑うように逸人を見たまま動かないでいると、逸人の方が起き上がり、芽以の布団をめくると、中に入ってきた。
こ……
これは一体。
芽以は、ミイラでもこんなに硬直していないと思うほど固まる。