パクチーの王様
「芽以ー。
ちょっと上に上がっとけ。
下りてくるなよー」
と逸人が言うのが聞こえた。
なんだろうな、と思いながら、芽以が、
「はーい。
なんでですかー?」
と訊くと、
「なにかが来たから」
とよくわからない返事があった。
なにかが来たってなんだ、と思いながらも、素直に二階に上がろうとしたのだが、スマホを厨房の棚の上に忘れていたのを思い出し、急いで取りに戻ってしまった。
すると、ドアが開き、圭太が現れた。
何故か頭が濡れている。
「圭太」
「芽以……」