パクチーの王様

 いや……私は、日向子さんと二人きりにはなりたくなかったんだが、と思っていると、日向子が、

「座ったら?」
と静が空けてくれた席を手で示してくる。

 はい、と芽以は言われるがままに腰掛けた。

 やっぱり、日向子さんの方が年上っぽいな、と思いながら。

 でもまあ、日向子さんは兄嫁になるわけだから、立場的には、向こうが上で別にいいのか、と思っていると、日向子は、
「貴女、私に、なにか言いたいことはある?」
と訊いてきた。

 言いたいこと……。

 言いたいことか。

 厨房で静と話している逸人をチラと見、芽以は訊く。

「日向子さんは、何故、逸人さんと同い年なのですか?」

「……いや、何故っておかしくない?
 っていうか、それがあんたの一番訊きたいことってのがおかしくない?」

 そう日向子は胡散臭げに言ってくる。

 訊き方がおかしかったようだ。
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