パクチーの王様
一度、手を止め、顔をしかめたあとで、圭太と同じように、結局、全部かけた。
おおっ。
それ、結構来ますよ、と思いながら、それらを口許に運ぶ彼の写真を何枚か撮った。
すると、
「うっ」
と叫び、彼は目でなにかを探した。
芽以にはわかる。
トイレだ。
自分もそうだったからだ。
「こちらですっ」
と芽以は慌ててトイレに彼を案内した。
彼は、しばらくして、トイレから出てきた。
「すみません。
僕、パクチー苦手で」
……挙動不審だったので、わかってましたよ、と微笑みながらも思っていたが、言わなかった。