パクチーの王様



 相変わらず、すごい家だな、と逸人について、屋敷に入った芽以は思う。

 子どもの頃から出入りしてきたが、改めて見ると、本当に豪邸だ。

 昔は、広くて隠れるところがたくさんある、かくれんぼにいい家、としか思わなかったのだが。

 相馬のご両親は、リビングに居た。

 軽く芽以を挨拶させたあと、逸人が店がオープンしたばかりなので、食事会には来られない、と言うと、逸人の父、光彦はすぐに快諾した。

「なかなか店の評判はいいようだな。
 実は、如月さんが行ってみられたようなんだよ。

 美味しかったと喜んでおられた」

 まあ、頑張りなさい、と息子が褒められたのが嬉しかったのか、機嫌がいい。

 圭太のために仕事を辞めたようなものだから、父親として、心配していたのだろう。

 次の仕事がすぐに軌道に乗りそうなので、喜んでいるようだった。
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