パクチーの王様
 やっぱりな、と思いながら、芽以は、はい、と返事をする。

 朝早い電話は、大抵、早起きな親世代からの電話だからだ。

 五時に起きる父親など、七時なんて、もう昼間だとか抜かしている。

 富美は、
『逸人は早起きだけど、貴女が寝ていたらいけないと思って、一応、家の電話にかけてみたのよ』
と言ってきた。

 ……あのー、どんなイメージなんですかね? 私。

 しかし、逸人のスマホにかけなかったということは、私に話があるんだろうな、と思っていると、富美はいきなり謝り始めた。

『芽以さん。
 ごめんなさいね、昨夜は動転しちゃって。

 日向子さんが式を自分のいいようにしようとするから』
と富美は言うのだが。

 でも、まあ、結婚式って、花嫁のためのものみたいな感じですからね、と思っていた。

 口に出したら、怒られそうだが。
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