パクチーの王様
少し富美と話して、芽以は電話を切った。
ガラス扉の鍵を開けると、
「ちょっと聞いてよー」
と言いながら、日向子が雪崩れ込んでくる。
「あのー、開店前なんですけどー」
と苦笑いしながら言ってみたが、日向子は、どっかと窓際の席に腰を下ろし、
「なに言ってんのよ。
あんた、私の義妹でしょ。
愚痴くらい聞きなさいよねー」
と言い出した。
そうですね。
一応、義妹ですよね。
そして、私は、二個上なのですが。
たまには思い出していただけると、ありがたいです……と思いながら、芽以は、やさぐれている日向子のために、紅茶を淹れてきた。