パクチーの王様
「……なんで?」
と思わず、訊いてみた。

「そしたら、俺と親戚になって、盆暮れ正月には会えるだろうがっ」

 なんかしょうもないことを言っているのだが、圭太の顔は言葉に似合わず、真剣だった。

 しかし、人はそのような理由により、結婚しなければならないものなんですかね……?
とぼんやり思っていると、あまり反応のない芽以の手を取り、圭太は叫び出す。

「会いたいんだっ。
 盆暮れ正月くらいっ。

 このままお前がどっかわからない家に嫁いで、遠くに行ってっ。
 二度と会えなくなるなんて、絶対に嫌だっ!」

 ありがたいような、軽く錯乱しているような……。

 いや、私もしている気がしてきた、と芽以は思う。
< 4 / 555 >

この作品をシェア

pagetop