パクチーの王様
昨日、裏口に居たらしい圭太のことを思い出しながら、嫌な予感がしていると、
「いや、圭太さんもよくやってるんだけどね。
どうしても、代替わりするときには、不満が出るものだから。
また、圭太さんは、逸人さんって、すごく良く出来た人を押しのけて、後継者に決まったじゃない。
社内で不満持ってる人は、なんで、逸人さんじゃないんだと言ってるみたいで。
ちょっと今、あの会社、不穏な空気が漂ってるんだよね」
と教えてくれる。
「そうなんですか……。
確かに、圭太はいい加減で、チャラいところもあるけど。
仕事に関しては真面目なのに」
と呟いていると、大原は、ははは、と笑いながら、
「杉原さんが圭太さんとすごく仲いいのはよく伝わったよ。
身内のような存在なんだね。
って、もう本当に身内になったのか」
と言ってきた。
愚痴りつつも心配しているからだろう。
「今、結構大変かも。
気をつけてあげた方がいいよ、いろいろと」
親切にそう付け加えてくる大原にもう一度、頭を下げた。