パクチーの王様

 昨日、裏口に居たらしい圭太のことを思い出しながら、嫌な予感がしていると、

「いや、圭太さんもよくやってるんだけどね。
 どうしても、代替わりするときには、不満が出るものだから。

 また、圭太さんは、逸人さんって、すごく良く出来た人を押しのけて、後継者に決まったじゃない。

 社内で不満持ってる人は、なんで、逸人さんじゃないんだと言ってるみたいで。

 ちょっと今、あの会社、不穏な空気が漂ってるんだよね」
と教えてくれる。

「そうなんですか……。

 確かに、圭太はいい加減で、チャラいところもあるけど。
 仕事に関しては真面目なのに」
と呟いていると、大原は、ははは、と笑いながら、

「杉原さんが圭太さんとすごく仲いいのはよく伝わったよ。
 身内のような存在なんだね。

 って、もう本当に身内になったのか」
と言ってきた。

 愚痴りつつも心配しているからだろう。

「今、結構大変かも。
 気をつけてあげた方がいいよ、いろいろと」

 親切にそう付け加えてくる大原にもう一度、頭を下げた。
< 401 / 555 >

この作品をシェア

pagetop