パクチーの王様
メールを見た芽以は、なんだ、という顔で笑い、
「ただのカード会社からのお知らせでした」
と言ってくる。
「でも、こういう不審なメールにご注意くださいというメールが不審なメールなんじゃないかといつも疑ってしまうんですけどね」
と笑う芽以に、不安になる。
なんで、こんなになにもかも信じられなくなっているんだろう?
もしや、圭太にいきなり捨てられたせいで、すべてに対して疑心暗鬼になっているとか……?
と思い、芽以に思わず、
「……圭太のせいか」
と訊いてしまう。
「なんでですか……」
と言う芽以の側の胡椒を取ろうと、手を伸ばすと、ひょいと芽以が自分の手から逃げるように動いたように見えた。
何故、逃げる、芽以。
「……圭太のせいか」
「なんでですか……」
とふたたび、芽以は言ったが。
少し様子がおかしいのは確かだった。