パクチーの王様
なんだろう、これは……。
やはり、
『貴方とは結婚したくなかったんですよー。
出してなくて、良かったですっ。
ありがとうございますーっ』
――ってことなのか?
それとも、あの赤くなっている様子からして、
『お気遣いいただきありがとうございますっ。
嬉しいですっ』
――ってことなのかっ?
ああ、どのようにも取れて難しい……と芽以を追えないまま、ぐるぐる考えていたが。
いや、このままにするわけにはいかんっ、と逸人は覚悟を決めた。
まあ、決めた時点で、芽以が走り去ってから、二日くらい経っていたのだが。
芽以を問いただそうと心に決めたその日。
逸人は仕事を終えたあと、芽以が厨房にスマホを忘れていることに気づいた。