パクチーの王様
まあ、芽以が俺を好きかはわからないが、尊敬してくれてはいるようだ。
何処を尊敬するところがあるのか知らないが。
圭太が話を振ってくれなきゃ、芽以になにも言えなかったような、こんな情けない男、と思いながら、逸人はその晩、芽以について、芽以の実家に行っていた。
また、男三人、庭の足湯に浸かっていると、聖が笑って言ってくる。
「そろそろ婚姻届を出したらどうだ?」
「でも、まだ……」
と言いかけたが、
「芽以は不安がってるぞ」
と聖は言ってくる。
そうなのか。
芽以のために出さないでいたのに。
中で水澄たちと話している芽以を見ながら、
「芽以が俺を好きだと言ってくれるまで、待とうとは思ってるんですが」
と自身も迷っていることを明かすと、
「なに言ってんだー。
俺は前から言ってるだろ。
芽以は、昔から、圭太より、お前の方が好きなんだってー」
と聖は笑って肩を叩いてくる。