パクチーの王様
とりあえず、みんなへのいい説明が思いつくまで逃げよう、と思ったのだが。
千佳は、芽以が、チラ、と視線を右にやれば、右の隙をなくし、左にやれば、左の隙をなくす。
……さすが、インハイで優勝したバスケチームに居ただけのことはある、と思った。
千佳いわく、
「いや、居ただけ」
だそうなのだが。
レベルの高い中に居た人はやはり、なにかが違うようだ。
そう思ったとき、ノックの音がした。
「おーい。
どうしたのー?
誰も受付、出てないじゃない。
警備員さんが帰れないよー」
いつもおっとりしている総務の課長の声に、はーい、と全員で返事をする。