パクチーの王様
「昔探しましたよね。
 三台見つけると、いいことがあるって言って。

 でも、翔平がこの間、十五台見つけないとって言ってて、増えすぎ――」

 話している途中で、逸人がいきなり顎に手を触れてきた。

 えっ? と思っている間に、芽以の顎を持ち上げ、口づけてきた。

 ……逸人さん、此処、外です。

 人居ないけど……。

 すぐに手を離した逸人は、
「ああ……でも、これは俺にとって、いいことだったな」
と呟きながら行ってしまう。

 いやいや。
 そもそも、一台しか見てませんしっ。

 っていうか、今のが逸人さんにとって、いいこととか。

 まさか、逸人さんが私を好きだなんて――。

 いや……ないですよね。
 そんな恐れ多い。
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