パクチーの王様
「俺も今は飲んだぞっ。
逸人っ。
芽以を寄越すか、俺と一緒に死んでくれっ」
逸人は溜息をつき、
「兄弟で心中とか、意味がわからんうえに気色悪いだろうが」
と言い出す。
そうですね。
そして、千佳みたいな人が、いろいろと邪推しますよ。
美形の男兄弟二人で心中すると――。
そのとき、
「よし、刺せ」
と言って、逸人が圭太の前へと一歩進み出た。
「逸人さんっ」
逸人はこちらを振り返らないまま、言ってくる。
「芽以、こんなことなら、もうちょっとお前となにかしとくんだった」
いや、今、なに言ってんですか、と芽以はそんな場合ではないのに、赤くなる。
圭太は逸人に包丁を向けたまま、動かなかった。
逸人っ。
芽以を寄越すか、俺と一緒に死んでくれっ」
逸人は溜息をつき、
「兄弟で心中とか、意味がわからんうえに気色悪いだろうが」
と言い出す。
そうですね。
そして、千佳みたいな人が、いろいろと邪推しますよ。
美形の男兄弟二人で心中すると――。
そのとき、
「よし、刺せ」
と言って、逸人が圭太の前へと一歩進み出た。
「逸人さんっ」
逸人はこちらを振り返らないまま、言ってくる。
「芽以、こんなことなら、もうちょっとお前となにかしとくんだった」
いや、今、なに言ってんですか、と芽以はそんな場合ではないのに、赤くなる。
圭太は逸人に包丁を向けたまま、動かなかった。