パクチーの王様

 いつ、浮気されたり、離婚されたりしてもおかしくない感じが自分でもしているからだ。

 っていうか。
 そもそも、逸人さんは私のこと、好きなわけでもないしなー。

 そこのところは父親には伝わってるかも、と思いながら三人の様子を窺っていた。

「春までに結納はしなさいよ」
と言う母親に、そちらを見ながら、

「いや、もう婚姻届は書いちゃったんだけど」
と言うと、まあ、と言う。

「じゃあ、早く出しなさいよ」
と言う母親に、水澄が、お義母さん、お義母さん、と苦笑いして言っている。

「式は後にするの?」
と水澄が訊いてきた。

「……たぶん」

「もう一緒に住んでるの?」
とうっかり訊いた兄嫁は、一瞬、あっ、余計なこと言っちゃったかな、という顔で、チラと母親を見たが、母が心配していたのは、違うことだった。
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