mirage of story
約束は果たすもの
〜1〜
「―――俺もいつかシエラのように強くなる。
いつになるかはまだ自分にも分からないけれど」
自嘲気味な笑み。
「待っていて。
もし俺も貴方のようにこの世界に飛び出すことが出来たなら、きっと迎えに行く。
俺は貴方と―――シエラと共に生きたい」
待っていて欲しい。
そう自嘲を穏やか笑みに変えた、綺麗な紅の彼が言った。
別れの時、彼と交わした約束。
それを向けられた彼女は迷うこともなく頷いた。
――――。
あれから二月。
世界の争いの最中の現実で紅の彼は、カイムは荒れた大地に一人孤独に立ち尽くす。
まっさらな大地。
元々此処には何も無かったのだと見る者全てが思うような、世界そのままの大地。
だが此処は――――彼の故郷が在った場所。
それも昔のことじゃない、たった幾何か前のこと。
―――――。
大地の果てを見つめる彼の瞳に、一筋の涙が流れた。
涙の雫は彼の綺麗な紅を映し出して流れ落ち、大地へと吸い込まれていく。
じわり。
涙は大地を湿らす。
彼の涙は地面に染み渡り、辺りを哀しみの記憶の中へと誘った。
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「―――俺もいつかシエラのように強くなる。
いつになるかはまだ自分にも分からないけれど」
自嘲気味な笑み。
「待っていて。
もし俺も貴方のようにこの世界に飛び出すことが出来たなら、きっと迎えに行く。
俺は貴方と―――シエラと共に生きたい」
待っていて欲しい。
そう自嘲を穏やか笑みに変えた、綺麗な紅の彼が言った。
別れの時、彼と交わした約束。
それを向けられた彼女は迷うこともなく頷いた。
――――。
あれから二月。
世界の争いの最中の現実で紅の彼は、カイムは荒れた大地に一人孤独に立ち尽くす。
まっさらな大地。
元々此処には何も無かったのだと見る者全てが思うような、世界そのままの大地。
だが此処は――――彼の故郷が在った場所。
それも昔のことじゃない、たった幾何か前のこと。
―――――。
大地の果てを見つめる彼の瞳に、一筋の涙が流れた。
涙の雫は彼の綺麗な紅を映し出して流れ落ち、大地へと吸い込まれていく。
じわり。
涙は大地を湿らす。
彼の涙は地面に染み渡り、辺りを哀しみの記憶の中へと誘った。
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