mirage of story
瞬間。
石が眩いばかりに光を放ち、固く歪だった石の欠片がグニャリと溶け出して綺麗な球体を形成する。
手の平に収まる程の輝く球体。
その球体はフワリと掲げられた手から浮き上がり、空へと舞う。
すると、どうだろう。
何処からともなく湧き出た暗雲が、その球体となった石を求めるように空の四方八方からその手を伸ばす。
そしてその暗雲達が、輝くそれをすっぽり取り込んだ。
"力が.........戻った"
地の底から声が聞こえた。
―――ゴオォォオッ!
そして響き渡る地を激しく駆け巡る轟音と、大地を突き上げるような揺れ。
彼が、ロアルが立っていた大地が大きく裂ける。
その地を無くした空間に、ロアルの身体は立ち続ける。
大地の裂け目は轟音と共に光の如く世界を駆け巡り、大地を半分に切り裂いた。
(世界の終わりが――――始まってしまった)
本当の彼が嘆く。
だが闇に身体も心も囚われた彼はその現実を止めることも、目を逸らすことも目を伏せることも出来ない。
彼は自らが犯してしまった罪で世界が崩壊していくのを、ただ見ることしか許されない。
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