mirage of story
"人などにこの世界をくれてやるくらいなら――――我が手で人諸共この世界を壊してくれよう。
.........元凶を根絶し、一度この腐り廃れた世界を終わらせて、この世界に新たなる始まりをっ!"
ゴゴゴ.....ゴゴオォォ――――ッ!
ヴアァァアッ!
迫り上がる闇が、ついに地上へと放たれる。
闇に塗られた艶やかな光沢を放つ一枚一枚の鱗に覆われた、巨大で猛々しい姿。
禍々しい光を宿した瞳はギロリと、幾千幾億年ぶりの地上を見下ろす。
剥き出しの歯は鋭く、きっと何もかもを粉々に噛み砕いてしまうのだろう。
その鋭い歯の隙間からは、人に対する憎しみや恨みを凝縮させた闇が濛々と巡る。
(お前が―――創黒の竜か)
意識の奥で、ロアルが絶望的に呟く。
姿を現した竜の名を。
だが彼には呟くことしか出来ず、彼の身体は地の底から地上へと解き放たれたその竜の背に一体化するように乗った。
"...........では、終焉の宴を始めようか"
おぞましい低い声。
漆黒の瞳で世界を冷酷に見下ろす一匹の竜と一人の哀れな男。
その二つの存在は新たな世界を求め.......この世界に終止符を打つべく、破壊を始めた。
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