mirage of story










「これは、人間共の仕業なのか?」


「いや......奴等にこのようなことの出来る戦力は無いはずだ!」



「では、ただの地震か?」


「そうだといいが。
でもこれは、明らかに普通のものとは質が違う。異質だ」




口々に言う声が、折り重なって不安を誘う。

これが敵の仕業であるのなら恐ろしいことだが、得体が知れない方がもっと恐ろしい。
得体の知れない状況を前に、戦場には様々な憶測が飛ぶ。














ゴゴゴ.....ゴオォォオッ!

ザアァァアッ。
バリバリバリッ!



地響きの轟音が一層に激しく大きく空間を突き抜け、激しすぎる揺れと共に大地に亀裂が迸った。

それも生半可なものではない。
世界の反対側まで突き抜けるような深い深い亀裂が、世界を真っ二つにするようにほんの一瞬......まるで光の如く迸ったのだ。











「........やっぱり普通じゃねぇよ」



兵達が居たすぐ前に入った闇の湧き上がる深い亀裂に、事の異常さを思い知る。

人の力では到底為せないこの崩壊。この破壊。
これはもはや、神の所業にすら見えた。

















―――ヴアァァアッ!

そして聞こえる、猛々しく悍ましい低く轟くような雄叫び。
それは世界中に響き渡り、世界を恐怖に震わせ侵蝕する。




その雄叫びのする方を一斉に皆が見る。

場所は、そう遠くはない。
いつの間にか暗雲に包み込まれた空に、より一層に黒い何かが飛び上がるのが全員の瞳に映った。








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