mirage of story












「決まり、だな」



言葉にしなくともシエラの決断は全員に伝わったらしい。




ッ。

皆が各々の武器を手にし、それを静かに天に突き立てる。
皆の意志も、そして覚悟ももう決まっていた。
















「..........では皆で行くとしよう。
時間はもう無いのでな。

―――ロキ!
準備の方は滞りなく済んだのであろうな?」




天に突き立てられる武器を背景に、ジスの鋭い声が飛ぶ。

集まる人の波の奥。
ジス達が居る位置からは姿の見えない人の名を呼ぶ。








ザンッ......。






「全ては滞りなく」



鋭い声に答える声。
一瞬風が横を通り過ぎたと思うその次の瞬間には、ジスの横に跪くロキの姿。







「!?」


「うおっ!
ロキちゃんったら、出てくるならもっと普通に出て頂戴って」




申し訳ないが、現れたロキの姿に今彼が居なかったことに気が付いた。

ロキはいつも気配が無いというか、神出鬼没というか。



ジスに跪き答えるロキは驚く者達をほんの一瞬視線を送り、それから何も言わずに視線を戻した。
















「........竜達と話を付けました。

兵を二つに分割し、空から竜で陸から早馬で攻めます。
ジス殿と貴方方二人は空から、そして私とこの者は陸から後を追います。


皆から何も無ければ、直ちに実行に移します」




驚きへの反応は一切なし。
感情の籠もらない声で、淡々と説明をするロキ。


ジェイドのようにいつでもヘラッとしているのも問題だが、ロキはロキでやはり問題がある。
二人を足して二で割ったら丁度いいのだが、出来ないことを言っても仕方がない。









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