mirage of story
〜2〜
馬で地を行く彼等の遥か上空。
風を切り進む竜の背で、シエラ達は戦いへと備えていた。
「いよいよだな」
キイィンッ。
皆が緊張で静まり返る中、ライルは雲に覆われた地上を見据え剣を抜き呟く。
風を切る音に甲高い澄んだ金属音が重なる。
地上から伝わる破壊音と空気の振動は、先程よりももう随分近い。
竜の翼ならあと数刻のうちに、世界を終わらせようとしているその元凶の元へと辿り着くだろう。
それを皆知ってか、この空間には緊張と恐怖が渦巻いていた。
「そうね.......」
ッ。
ライルの呟きに、口を閉ざしていたシエラも剣に手を掛けて答えた。
答える声に自然と皆の視線が集まる。
「..........」
シエラのか細い手には不釣り合いな固く冷たい剣が小さく唸る。
ライルはそれを見て、ほんの少し眉を顰めた。
「どうかしたの?」
その様子を敏感に捉え、シエラは首を傾げて問う。
自分が何か可笑しいことでもしただろうか?
シエラは自分のした行動に何も可笑しな点が無いことを確認して、ライルを見た。
「――――いや、何でもない。
ただ、今ではお前も剣を握るようになったんだなと思って。
五年前まではお前が剣を持ってる姿なんて、想像も出来なかったのにな」
ライルの一回軽く否定してからの本音。
.
馬で地を行く彼等の遥か上空。
風を切り進む竜の背で、シエラ達は戦いへと備えていた。
「いよいよだな」
キイィンッ。
皆が緊張で静まり返る中、ライルは雲に覆われた地上を見据え剣を抜き呟く。
風を切る音に甲高い澄んだ金属音が重なる。
地上から伝わる破壊音と空気の振動は、先程よりももう随分近い。
竜の翼ならあと数刻のうちに、世界を終わらせようとしているその元凶の元へと辿り着くだろう。
それを皆知ってか、この空間には緊張と恐怖が渦巻いていた。
「そうね.......」
ッ。
ライルの呟きに、口を閉ざしていたシエラも剣に手を掛けて答えた。
答える声に自然と皆の視線が集まる。
「..........」
シエラのか細い手には不釣り合いな固く冷たい剣が小さく唸る。
ライルはそれを見て、ほんの少し眉を顰めた。
「どうかしたの?」
その様子を敏感に捉え、シエラは首を傾げて問う。
自分が何か可笑しいことでもしただろうか?
シエラは自分のした行動に何も可笑しな点が無いことを確認して、ライルを見た。
「――――いや、何でもない。
ただ、今ではお前も剣を握るようになったんだなと思って。
五年前まではお前が剣を持ってる姿なんて、想像も出来なかったのにな」
ライルの一回軽く否定してからの本音。
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