mirage of story










「俺はお前のすべきことに、どこまでも付き合うさ」


「........うん」


















"........そろそろ着くぞ"



会話が終わる。
それと同時に、静かに告げる竜の声。

周りの空気が一瞬びくりとぐらついた気がした。

ずっと黙っていたジス、そしてシエラにライルさえも身体を震わせた。







ブワアァァァッ。

竜は皆を乗せ、雲を引き裂き地上へと向かう。
厚い鈍色の不気味な雲を通り抜けたその先には、もう一つの竜の黒き影。


黒き竜は空からの襲撃者をギロリと睨み、そして不敵に笑った。
それはそれは、悪寒が背筋を迸るような笑みだ。










ワアァァアッ!

遠くから叫び声を上げて地上から馬を走らせていたロキ達の率いる、分断した勢力も来る。

天と地。
二つに別れていた兵達が、再び目的の地に一つになった。




.......もう、本当に後には退けない。

全員がそう悟り、未だに振り払えずに在った恐怖はもう何処かに吹き飛ぶ。
彼等に残されるは、もう勝利の道への一筋だけ。













"待ちわびたぞ.............虫螻どもよ"




低い声。黒き竜の声。

シエラ達はその声を聞くか聞かないかのうちに、守られていた竜の背から戦いにその身を投げた。







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