mirage of story
指輪の中に眠る記憶
〜1〜









「――――あの子を守ることが出来るのは、お前しか居ないんだよ。
ライル、あの子を....ルシアスをよろしく頼むよ」






これは、ルシアスの十二回目の誕生日である日。
魔族の前王であるルシアスの父から、ライルが言われた言葉だ。













あの日、ライルはルシアスと二人で王の元に呼ばれていた。 








「......何か、ご用?父様」




静かな部屋の中に、ルシアスの声が響いた。




ついさっきまで、二人はルシアスの誕生祭が行われている広間にいた。

その誕生祭の途中、この国の王であるルシアスの父に理由を告げられぬまま、二人揃って呼び出されたのである。







ライルは隣に居るルシアスを見た。

ルシアスはいつもと違い、美しいドレスを身に纏っている。



普段、『こっちの方が動きやすいから』と男物の服を着て、外を走り回ってるルシアス。

そんなルシアスのいつもと違う、少し大人びた姿にライルは思わず視線を逸らした。









「二人とも、こっちへ来なさい」



王が優しい声で二人を呼んだ。



今までライルにとって王という意識ではなく、ルシアスの父という感覚があった。

だから今日、王として会う姿が何だかいつもと違うような感じがして、何か凄く緊張した。






 
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