mirage of story
旅路、追跡
〜1〜
太陽が空高く昇り大地を、そして大地に立つ二人を照らし影を映し出す。
「シエラ」
「うん?」
神妙な面持ちで、カイムは隣を歩くシエラの名を呼ぶ。
その声にシエラはキョトンと首を傾げて答える。
「この道、本当に合ってるのか?」
カイムはなかなか辿り着かない目的地に、心配そうな声で訊ねる。
無理もない。
どうも先程から同じような景色がずっと目の前に広がり続けていた。今、自分たちの居場所が全く分からない状況なのだから、不安にもなる。
しかも彼等がいるのはそこらの普通の道でないことが、不安を倍増させていた。
「.....合ってるよ!多分」
そんなカイムの心配そうな問い掛け。
シエラは声を張って答えたが、その語尾は何とも自信なさげ。
多分という曖昧さほど、恐いものはない。
「多分って....確認するけど、本当にこの村に住んでたんだよね?」
こんな会話が、辺り一面に広がる緑の中に響き渡る。
濃い緑と薄い緑のグラデーションが、二人の四方を取り囲むようにそこに在った。
今日の朝、決意と共に旅立ったこの二人。
固い決意と共に旅立ったはずのこの二人。
魔族を討つべく決意を新たに、この地を旅立つはずだった。
だが、どうだろう。
この二人が居るのは、消え失せてしまったシエラの故郷。旅立ったはずの旅の出立地点。
そして今、二人はある目的地を目指して歩いているのは自然以外何もない、この緑茂る森の道。
しかもよりによってあの森の中。
あの、シエラに様々な転機を与えたあの森の中だった。
新たなる地に旅立ったはずの二人。
なのに何故、まだ此処にいるのだろう。
.
太陽が空高く昇り大地を、そして大地に立つ二人を照らし影を映し出す。
「シエラ」
「うん?」
神妙な面持ちで、カイムは隣を歩くシエラの名を呼ぶ。
その声にシエラはキョトンと首を傾げて答える。
「この道、本当に合ってるのか?」
カイムはなかなか辿り着かない目的地に、心配そうな声で訊ねる。
無理もない。
どうも先程から同じような景色がずっと目の前に広がり続けていた。今、自分たちの居場所が全く分からない状況なのだから、不安にもなる。
しかも彼等がいるのはそこらの普通の道でないことが、不安を倍増させていた。
「.....合ってるよ!多分」
そんなカイムの心配そうな問い掛け。
シエラは声を張って答えたが、その語尾は何とも自信なさげ。
多分という曖昧さほど、恐いものはない。
「多分って....確認するけど、本当にこの村に住んでたんだよね?」
こんな会話が、辺り一面に広がる緑の中に響き渡る。
濃い緑と薄い緑のグラデーションが、二人の四方を取り囲むようにそこに在った。
今日の朝、決意と共に旅立ったこの二人。
固い決意と共に旅立ったはずのこの二人。
魔族を討つべく決意を新たに、この地を旅立つはずだった。
だが、どうだろう。
この二人が居るのは、消え失せてしまったシエラの故郷。旅立ったはずの旅の出立地点。
そして今、二人はある目的地を目指して歩いているのは自然以外何もない、この緑茂る森の道。
しかもよりによってあの森の中。
あの、シエラに様々な転機を与えたあの森の中だった。
新たなる地に旅立ったはずの二人。
なのに何故、まだ此処にいるのだろう。
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