mirage of story
〜6〜















「着いた」



そのシエラの言葉と共に足を止めた二人は、小さな家のドアの前に居た。





「.......ここがシエラの家なのか?」



「そう。
ここが私の───ほんの少しの間だったけど、母さんと家族として暮らした私の家」





ここはシエラがエルザと出会ってからエルザが魔族に――――ロアルに命を奪われるまでの四年間もの間、母と娘として時を過ごした場所。


そして、シエラとカイム。
この二人が目指していた最初の目的地。











「よかったぁ。
無事だったんだ、この家は」


シエラは、安堵の表情を浮かべる。 





「よく無事だったわね。
村は、もう何も.....なくなっちゃったのに」 



「........シエラ大丈夫か?」






シエラの言葉の陰りに気付き、カイムが心配そうに様子を伺う。


彼女が家族同然の人をそして故郷を失ってまだ一夜。
そのまだ生々しく残る彼女の心の傷を、カイムは気遣っていた。








「大丈夫。
村のことは、忘れない程度に引きずらないって決めたから。

......じゃないと、前に進むことなんて出来ない」




シエラは薄く笑みを浮かべながら言う。

注ぐ陽の光がそんなシエラの顔を照らして、表情にシエラ強さの強さが浮かび上がった。





 

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