mirage of story
 
 
 
 
 
 
招かれるままに部屋の中へと入る。



........。
やはりお世辞にも綺麗とは言えないが、数日過ごすには充分な部屋だ。

おまけに店主もなかなか人がいい。
この宿に決めてよかったと、彼は心で思った。







「じゃあ、兄ちゃん。ごゆっくりな」



「あぁ!
ありがとな、おっちゃん」





ガチャンッ。
店主の男はそう言うと部屋を出ていき、それを見届けると扉を閉める。





........。

来たばかりの街。
見たい所も行きたい所も沢山ある。







「まぁでも、明日でいいか」



ッ。
そう独り言を呟いて彼は一人になった部屋で悠々とベッドに倒れ込む。


街を見学は明日からに決めたらしい。






「――――」



そう決めてからの行動は早いものである。

――――。ッ。
ベッドに倒れ込み数秒後、聞こえてきたのは彼の寝息だった。



 




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