mirage of story
 
 
 
 
 
 
 
 
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「シエラ、ちゃんとついて来ている?」


「う、うん。
何とか大丈夫よ、何とかね」




街に足を踏み入れた。
数秒後、彼等は案の定人の波に揉まれていた。


案ずる彼言葉に答えるシエラ。
溢れる人の背に押し潰されながら、見知らぬ人に体当たりされながら何とか答えた。



――――。
街の中は外から見るよりもずっと混んでいた。

前も後ろも、右も左も人だらけ。
人の隙間から、チラチラ見える建物の壁が恋しい。

正直、足を踏み入れて数秒で後悔を覚えた。








「シエラ、一回人混みを抜けよう....っ!
このままじゃ、潰される!」



「う、うん!」





――――。ッ。

慣れない旅人にも容赦は無い人の波。
カイムはそんな中を器用に潜り抜けて、彼女を連れて脇の道へと何とか抜ける。


二人が抜けたその道。
さっきの道よりずっと空いていて二人はホッと溜め息をつく。









「物凄い人ね」



「あぁ......これは凄いな。
何か今のでもう疲れてきたよ、俺。
シエラは大丈夫?」




「.....私も何だかもう疲れてしまったわ」





二人は慣れない人混みに疲れて、道の脇にゆっくり腰を下ろす。
すると一気に疲れが押し寄せてきて、二人はそのまま座り込んだ。












(───────これじゃ、情報を集めるどころじゃないな。

困ったなぁ。
こんなに人が多いなんて、予想してなかった)






 
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