mirage of story



 
 
 
 
 
 
道に座り込む。
この道は人通りが殆ど無いようであるので、邪魔にはならないだろう。

カイムは一気に押し寄せてきた疲れに駆られながら、頭を腕の中に埋めながら思う。










(せっかくこの街でなら奴等について何か分かるかと思ったんだけどな。
これじゃあ、人が多すぎる)





心の中でも溜め息をつく。

この街へ来たのは、倒さなければならない相手つまり奴等魔族に関する情報を得るため。


人が多いということはそれだけ情報も多いということだけれど、さすがにこの人の数は多すぎる。

沢山あれどその情報が確かで無ければ意味がない。
正しい情報を選別出来ねば意味が無いのだ。




――――。
彼等の敵は魔族のその王、つまりは国家。

それに対して自分達は二人だけ。
たった二人、ちっぽけな少年と少女だけ。




情報が欲しかった。
この明らかなる劣勢を覆せるだけの情報が、少しでもこちらが優位に立てる情報が欲しかった。









(─────地道に聞いて回るしか無いかな。

この街には少々長居することになりそうだ......まずこの街に居る間、身体を休めることの出来る所を探さなきゃな)





情報を集めるのも大切だ。
だが思い立ったとしてもすぐに集まるものでも無い。

それよりもまず今は歩き続けて疲れた体を癒すのが最優先だと感じ、彼は休める場所を探すべく立ち上がろうと足に力を入れる。





ッ。
だが一度座り込んでしまった足は、まだ休みが足りないとばかりに動かないものである。
非常に足が重い。








(......)




力を入れているはずの足だが、その力は疲れの溜まってしまった足には届かない様子。

――――。
仕方が無い。
カイムは諦めてもう少しこのまま休むことにした。





 

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