mirage of story
奥の扉。
そこはさっきジェイドが街の中で出会った旅人達を―――カイムという少年とシエラという少女の二人を案内した部屋。
........。
さっき覗いた時は二人とも寝息を立てながら寝ていたのだが、どちらかが起きたのだろう。
「あ、あの.....おはようございます」
出てきたのはカイムの方だった。
「あぁ、お前か!
どうだい、よく眠れたかい?」
「はい。お陰様で少し疲れが取れました。
.......えっと、ジェイドさん。ありがとうございます」
カイムはまだ眠そうな瞳を開けながらジェイドに深々の頭を下げる。
「おいおい、そんな堅苦しいのは止めようぜ?
息が詰まっちまう。
─────あ、そいえば一緒に居たあの嬢ちゃんはどうした?」
実に礼儀正しいカイム。
その様子にジェイドはハハッと少しだけ呆れ笑い。
そして、ハッと思い出したようにカイムに尋ねる。
「あぁ、シエラのことですね。
彼女ならまだ寝ています。
相当疲れが溜まってたみたいですから、もう少し寝かせておいてあげようと思って」
ッ。
自分が今さっき出てきた奥の部屋を振り返り見つめて答える。
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