mirage of story
 
 
 
 
 




 
「うーん、もっとこう砕けた口調ってのは出来ないもんかねぇ?

......まぁいいか。
あ、そうだ!そういえばお前―――えっと確か名前はカイムでよかったかい?
嬢ちゃんと二人で旅してるって話だったよな?」



どうにもまだ堅苦しい雰囲気。
そんな雰囲気はやはりどうにも苦手なジェイドは、少しでも話題を広げて相手が打ち解けやすい環境を作ろうとする。







「はい。
......色々と事情があって」




旅人の少年カイム。
その彼の言葉にジェイドの顔に笑みが浮かぶ。

ニカッと笑うその表情は、さっき街の中で会った時にも見たあの意地悪で意味深な笑み。








「ほぉ、訳ありねぇ?」


「?
ジェイドさん......さっきから物凄く気になっているんですけど、何なんですか?その笑いは」




意味深な笑い。
それを前に彼の頭上には再びの疑問符が浮かぶ。

このカイムという少年は、やはり鈍感なのか。
ジェイドは今時には珍しい彼の鈍感さに面白味と興味を覚えて言葉を重ねる。









「俺はてっきり親に反対された二人が暗い夜に二人で逃げてきたのかと。
つまりは夜逃げ、つまりつまり旅の訳というのは愛の逃避行ってやつなのかと。」




「.......はい?」







 
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