mirage of story
─────ザッ.....カンッ!
「何をする!?」
ギイィンッ!
背を向け彼女の元へと歩き出す。
その瞬間、襲うのはジェイドの放つ刃。
それをライルは振り向き様に受け止めて叫びを散らす。
「だからね、隊長。
あんたの相手は俺だっての、話聞いてたかい?
嬢ちゃんに手出すのは、俺を倒してからにしてもらわないとねぇ」
煌めく刃の先には、薄く笑いを浮かべたジェイド。
いつの間にか彼の手に取られた槍が睨む青色の瞳に向けられる。
「なっ!?
お前は反逆者になっただけじゃ飽き足らずに逃亡者に―――人間に手を貸すまで落ちぶれたか!」
ライルは自分に刃を向けるジェイドに、鋭い視線を送る。
「ハハッ!知ってるはずだぜ?
俺は―――俺は元々落ちぶれ者なんだよ。
今になってからのことじゃない」
ニカッと笑う。
――――ッ。
それと同時にライルから飛び退くジェイド。
「───掛かってこいよ、隊長?
久々に本気で....殺り合おうじゃねぇか。
まぁ、負ける気は更々しないがなぁ。ハハッ!」
浮かべる笑みには明らかな挑発の色。
.......。
ッ。
それが挑発だと気付いたライルだが、身体が勝手に挑発する彼の方へと向いてしまっていた。
気持ちとは裏腹に身体はその挑発に素直に乗ってしまう。
本人も知らぬ間に剣はジェイドの方へとその方向を変えていた。
「フンッ。
全てから逃げ出したお前がよくもそんなことを.......その言葉、後悔させてやる」
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